安全なワクチン接種の為に
- 一般的にワクチン接種後には、ワクチンが免疫をつけるための反応を起こすため、接種部位の痛み、発熱、頭痛などの「副反応」が生じる可能性があります。治療を要したり、障害が残るほどの副反応は、極めて稀ではあるものの、ゼロではありません。アメリカの諮問委員会によると左のような副反応が報告されており、国内治験でも、ワクチンを2回接種した後に、接種部位の痛みは約80%の方に、37.5度以上の発熱が約33%の方に、疲労・倦怠感が約60%の方に認められています。
- ワクチンに含まれる成分に対する急性のアレルギー反応(アナフィラキシー)の発生頻度は、米国で100万回あたり5人程度と報告されています。しかし、接種後にもしアナフィラキシーが起こってもすぐ対応できるよう、接種会場や医療機関では医薬品など万全の準備がされています。
〇変異株スクリーニング検査受託開始について → 変異株検査
〇新型コロナウイルス変異株について → 変異株とは
〇PCR検査ご提出方法等について → ご提出方法
〇日本からの各国・地域の入国制限措置等について → *PCR検査方法等、入国条件について
感染症にかかると体の中で抗体などが作られ、新たに外から侵入する病原体を攻撃するしくみができます。このしくみを「免疫」といいます。
免疫のしくみを利用したのが「ワクチン」です。ワクチンを接種することにより、あらかじめウイルスや細菌(病原体)に対する免疫(抵抗力)を作り出し、病気になりにくくするのです。まれに熱や発しんなどの副反応がみられますが、実際に感染症にかかるよりも症状が軽いことや、まわりの人にうつすことがない、という利点があります。
皮膚の下に皮下脂肪があり、その下に筋肉があります。筋肉注射は針を筋肉まで刺し、皮下注射は皮下脂肪まで針を刺してワクチンを注射します。
-筋肉注射にはこんなメリットがあります。-
原則として、住民票所在地の市町村の医療機関や接種会場で接種を受けていただきます。ワクチン接種ができる医療機関や接種会場をインターネットで探すには、厚生労働省接種総合案内サイト「コロナワクチンナビ」をご覧ください。そのほか、市町村からの広報などをご確認ください。
全病原体ワクチン | 成分ワクチン | ||||
病原体すべてを用いる | 病原体の一部 | ||||
生ワクチン | 不活化ワクチン | ||||
全粒子不活化ワクチン | キメラワクチン | VLPワクチン | トキソイドワクチン | 遺伝子組換えワクチン サブユニットワクチン |
|
毒性を弱めて病原性をなくしたものを原材料として作られます。 |
感染する能力を失わせたものを原材料として作られます。 |
別のウイルスの表面に抗原を呈示させる。 |
ウイルス様粒子(VLP) |
細菌が作る毒素だけを取り出し、毒性をなくして作られます。 |
ウイルスの一部の成分のタンパク質を用いる |
麻疹 |
インフルエンザ |
HPV |
百日咳 |
B型肝炎など |
成分ワクチン | 核酸ワクチン | ベクターワクチン | その他 | |
遺伝子組換えワクチン | 設計図を用いる | |||
ナノ粒子型ワクチン | mRNAワクチン | DNAワクチン | ベクターワクチン | 抗原提示細胞ワクチン その他ワクチン |
遺伝子組換えたんぱく質ナノ粒子技術を用いた安定した原材料 |
病原体成分の設計図をRNAとして投与する |
病原体成分の設計図をDNAとして投与する |
病原体成分の設計図をベクターウイルスにのせて投与する |
その他 |
新型コロナ |
新型コロナ |
新型コロナ |
主な新型コロナワクチンの特徴 | ||||
|
2021年5月時点 |
|||
ファイザー | モデルナ | アストラゼネカ | ジョンソン・エンド・ジョンソン | |
製造メーカー | ||||
ワクチンタイプ | mRNAワクチン | mRNAワクチン | ベクターワクチン | ベクターワクチン |
開発国 | アメリカ | アメリカ | イギリス | アメリカ |
接種方法 | 2回(3週間隔) 筋肉注射 |
2回(4週間隔) 筋肉注射 |
2回(4~12週間隔) 筋肉注射 |
1回 筋肉注射 |
予防効果 | 95% | 94% | 76% | 66.9% |
接種対象者 | 16歳以上 (米国では12歳以上) |
18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 |
変異株に対する効果 | 英国型には効果あり 南アフリカ型にはやや効果が低下 |
英国型には効果あり 南アフリカ型には効果が低下 |
英国型には効果あり 南アフリカ型には効果無し? |
現時点ではワクチンは変異株にも有効 |
ごくまれな副反応 | 全身性の急性アレルギー反応 (アナフィラキシー) |
血小板減少を伴う血栓症 | 脳や腹部、脚の血管に血小板の減少を伴う血栓 | |
保管方法 | 超低温冷凍 -75℃前後 6ケ月保存可能 |
冷凍 -20℃前後 6ケ月保存可能 |
冷蔵 2℃~8℃ 6ケ月保存可能 |
冷蔵 2℃~8℃ 3ケ月保存可能 |
承認 | 2021年2月承認 | 2021年5月承認 | 2021年5月承認 | 承認申請中 |
表面に突起がある直径100nm程度の球形ウイルスです。
その形が王冠(crown)に似ていることからギリシャ語で王冠を意味するコロナ(corona)という名前が付けられています。
脂質の二重膜で覆われていて、その中にヌクレオカプシド(N)蛋白に巻き付いたプラス鎖の一本鎖RNAゲノム(遺伝子)があります。表面にはスパイク(S)蛋白、エンベロープ(E)蛋白、メンブレン(M)蛋白が配置されています。遺伝子情報を持つゲノムの大きさはRNAウイルスの中では最大サイズの30kbです。ちなみにインフルエンザウイルスのゲノムは10kb程度です。
新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、すでに2回目の接種を終えられた方もいらっしゃるかと思います。大規模臨床試験の結果、95%の高い発症予防効果が報告されていますが、自分自身がきちんと抗体を獲得できているか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。mRNAワクチンは、ウイルスの表面に存在し感染の成立に重要な役割を果たすスパイク(S)蛋白に対する抗体を誘導することで、COVID-19の発症予防効果を発揮します。スパイク(S)蛋白に対する抗体は、新型コロナウイルスへの既感染およびワクチン接種後の抗体獲得を示す良い指標であり、ウイルスとヒト細胞との結合を阻害する中和抗体としての活性を有すると考えられています。
スパイクタンパク抗体(中和抗体)検査をおすすめする方
※過去に新型コロナにかかっていても、WHO等ではワクチン接種が推奨されています。
※自然感染では抗体量が不十分の場合があります(後述)。
-プラーク減少中和試験(PRNT)の結果-
ウィルス量を50% まで減少させることを確認する培養細胞での試験(プラーク減少中和試験 (PRNT))で、1:250 希釈のPRNT ID50を使用した確率プロファイルの例では95%信頼区間で4,160AU/mLと報告されています。
-ファイザー社/ビオンテック社製のワクチン接種後の抗体価-
多くの論文でIgG抗体は発症後約10日で上昇し、発症後14日目以降の陽性率は100%と報告されています。
〇過去感染が気になる人 → 症状が出てから14日後以降の検査
〇ワクチンの効果判定 → 2回目の接種を終えて約1ヶ月
【判定方法】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者39人の血液中に含まれる抗体量を継時的に計測した。血中の抗体量は、SARS-CoV-2のウイルス粒子上にある主要な抗原タンパク質であるSタンパク質のレセプター結合領域、Sタンパク質の細胞外領域、SARS-CoV-2のウイルス粒子内でウイルスのゲノムRNAと結合しているNタンパク質を抗原として用いたELISA、中和試験によって測定した。
【結果】
発症10日目くらいにウイルスに対する抗体が検出され、抗体価は発症20日目くらいにピークに達した。その後、抗体価は時間とともに低下するが、低下速度は徐々に緩やかとなり、抗体は3~6カ月間維持された。
COVID-19患者におけるSARS-CoV-2に対する抗体価の変動。赤線は抗体価の中央値、灰色領域は95%最高密度区間を指す(クリックで拡大) 出典:東京大学医科学研究所
使用目的 | 検査項目 | メーカー | 検査方法 | ターゲット | 基準値 | ||||
ワクチン効果 | 既往の 有無 |
||||||||
新 型 コ ロ ナ 抗 体 検 査 |
●4289 | 〇 | 後期 | SARS-CoV-2 IGG (CLIA) |
アボット社 | CLIA | S 抗体 (IgG) |
陰性(-) 50未満(AU/mL) |
|
●0856 | ✕ | 初期 | SARS-CoV-2 IGM (CLIA) |
アボット社 | CLIA | S 抗体 (IgM) |
陰性(-) Index1.00未満(S/C) |
||
●0927 | ✕ | 初期 後期 |
SARS-CoV-2抗体 (ECLIA) |
ロシュ社 | ECLIA | N 抗体 (IgM・IgG) |
陰性(-) COI < 1.0 |
各検査の特徴について
● S抗体・・・スパイク蛋白に対する抗体
ワクチン多くがS(スパイク)に対するワクチンで有り、ワクチン効果を判定にはスパイクに対する抗体が有用
● N抗体・・・ヌクレオカプシドに対する抗体
多くのワクチンによる影響がなく自然感染したかどうかを判定する為に有用
● IgM抗体・・・早期に検出可能
中国渡航にはPCRに加え、IgM抗体陰性が必要
● IgG抗体・・・後期に上昇・持続
過去に感染したかどうかを判定する為に有用
日々、医療業務に携わる先生方のために、日本臨床が検査を
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- 一般的にワクチン接種後には、ワクチンが免疫をつけるための反応を起こすため、接種部位の痛み、発熱、頭痛などの「副反応」が生じる可能性があります。
- 治療を要したり、障害が残るほどの副反応は、極めて稀ではあるものの、ゼロではありません。
- ワクチンに含まれる成分に対する急性のアレルギー反応(アナフィラキシー)の発生頻度は、米国で100万回あたり5人程度と報告されています。しかし、接種後にもしアナフィラキシーが起こってもすぐ対応できるよう、接種会場や医療機関では医薬品など万全の準備がされています。
〇新規受託 → 変異株スクリーニング検査
〇変異株について → 変異株とは
〇PCR検査ご提出方法等 → ご提出方法
〇各国・地域の入国制限措置等
→ *PCR検査方法等、入国条件
免疫のしくみを利用したのが「ワクチン」です。ワクチンを接種することにより、あらかじめウイルスや細菌(病原体)に対する免疫(抵抗力)を作り出し、病気になりにくくするのです。まれに熱や発しんなどの副反応がみられますが、実際に感染症にかかるよりも症状が軽いことや、まわりの人にうつすことがない、という利点があります。
-筋肉注射のメリット-
原則として、住民票所在地の市町村の医療機関や接種会場で接種を受けていただきます。ワクチン接種ができる医療機関や接種会場をインターネットで探すには、厚生労働省接種総合案内サイト「コロナワクチンナビ」をご覧ください。そのほか、市町村からの広報などをご確認ください。
全病原体ワクチン
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成分ワクチン
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病原体すべてを用いる
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病原体の一部
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生ワクチン
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不活化ワクチン
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【全粒子】 |
キメラワクチン |
VLPワクチン |
トキソイド |
遺伝子組換え |
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毒性を弱めて病原性をなくしたものを原材料として作られます。 |
感染する能力を失わせたものを原材料として作られます。 |
別のウイルスの表面に抗原を呈示させる。 |
ウイルス様粒子(VLP) |
細菌が作る毒素だけを取り出し、毒性をなくして作られます。 |
ウイルスの一部の成分のタンパク質を用いる |
麻疹 |
インフルエンザ |
HPV |
百日咳 |
B型肝炎など |
成分ワクチン
|
核酸ワクチン
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ベクターワクチン
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その他
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遺伝子組換え
ワクチン |
設計図を用いる
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ナノ粒子型ワクチン |
mRNAワクチン |
DNAワクチン |
ベクターワクチン |
抗原提示細胞 |
遺伝子組換えたんぱく質ナノ粒子技術を用いた安定した原材料 |
病原体成分の設計図をRNAとして投与する |
病原体成分の設計図をDNAとして投与する |
病原体成分の設計図をベクターウイルスにのせて投与する |
その他 |
新型コロナ |
新型コロナ |
新型コロナ |
主な新型コロナワクチンの特徴
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2021年5月時点
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ファイザー
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モデルナ
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アストラゼネカ
|
ジョンソン・エンド・ジョンソン
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製造メーカー
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ワクチンタイプ
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mRNAワクチン
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mRNAワクチン
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ベクターワクチン
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ベクターワクチン
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開発国
|
アメリカ
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アメリカ
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イギリス
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アメリカ
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接種方法
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2回(3週間隔)
筋肉注射 |
2回(4週間隔)
筋肉注射 |
2回(4~12週間隔)
筋肉注射 |
1回
筋肉注射 |
予防効果
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95%
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94%
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76%
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66.9%
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接種対象者
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16歳以上
(米国では12歳以上) |
18歳以上
|
18歳以上
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18歳以上
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変異株に対する
効果 |
英国型には効果あり
南アフリカ型にはやや効果が低下 |
英国型には効果あり
南アフリカ型には効果が低下 |
英国型には効果あり
南アフリカ型には効果無し? |
現時点ではワクチンは変異株にも有効
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ごくまれな副反応
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全身性の急性アレルギー反応
(アナフィラキシー) |
血小板減少を伴う血栓症
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脳や腹部、脚の血管に血小板の減少を伴う血栓
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保管方法
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超低温冷凍
-75℃前後 6ケ月保存可能 |
冷凍
-20℃前後 6ケ月保存可能 |
冷蔵
2℃~8℃ 6ケ月保存可能 |
冷蔵
2℃~8℃ 3ケ月保存可能 |
承認
|
2021年2月承認
|
2021年5月承認
|
2021年5月承認
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承認申請中
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その形が王冠(crown)に似ていることからギリシャ語で王冠を意味するコロナ(corona)という名前が付けられています。
脂質の二重膜で覆われていて、その中にヌクレオカプシド(N)蛋白に巻き付いたプラス鎖の一本鎖RNAゲノム(遺伝子)があります。表面にはスパイク(S)蛋白、エンベロープ(E)蛋白、メンブレン(M)蛋白が配置されています。遺伝子情報を持つゲノムの大きさはRNAウイルスの中では最大サイズの30kbです。ちなみにインフルエンザウイルスのゲノムは10kb程度です。
大規模臨床試験の結果、95%の高い発症予防効果が報告されていますが、自分自身がきちんと抗体を獲得できているか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
mRNAワクチンは、ウイルスの表面に存在し感染の成立に重要な役割を果たすスパイク(S)蛋白に対する抗体を誘導することで、COVID-19の発症予防効果を発揮します。スパイク(S)蛋白に対する抗体は、新型コロナウイルスへの既感染およびワクチン接種後の抗体獲得を示す良い指標であり、ウイルスとヒト細胞との結合を阻害する中和抗体としての活性を有すると考えられています。
スパイクタンパク抗体検査をおすすめする方
※過去に新型コロナにかかっていても、WHO等ではワクチン接種が推奨されています。
※自然感染では抗体量が不十分の場合があります(後述)。
-プラーク減少中和試験(PRNT)の結果-
(ファイザー社/ビオンテック社製)
〇過去感染が気になる人
→症状が出てから14日後以降の検査
〇ワクチンの効果判定
→2回目の接種を終えて約1ヶ月
【判定方法】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者39人の血液中に含まれる抗体量を継時的に計測した。血中の抗体量は、SARS-CoV-2のウイルス粒子上にある主要な抗原タンパク質であるSタンパク質のレセプター結合領域、Sタンパク質の細胞外領域、SARS-CoV-2のウイルス粒子内でウイルスのゲノムRNAと結合しているNタンパク質を抗原として用いたELISA、中和試験によって測定した。
【結果】
発症10日目くらいにウイルスに対する抗体が検出され、抗体価は発症20日目くらいにピークに達した。その後、抗体価は時間とともに低下するが、低下速度は徐々に緩やかとなり、抗体は3~6カ月間維持された。
COVID-19患者におけるSARS-CoV-2に対する抗体価の変動。赤線は抗体価の中央値、灰色領域は95%最高密度区間を指す(クリックで拡大) 出典:東京大学医科学研究所
使用目的
|
検査項目
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メーカー
|
検査方法
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ターゲット
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基準値
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ワクチン効果
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既往の有無
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コ
ロ ナ 抗 体 検 査 |
●4289
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〇
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後期
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SARS-CoV-2
IGG |
アボット
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CLIA
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S 抗体
(IgG) |
陰性(-)
50未満(AU/mL) |
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●0856
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初期
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SARS-CoV-2
IGM |
アボット
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CLIA
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S 抗体
(IgM) |
陰性(-)
1.00未満(S/C) |
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●0927
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✕
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初期
後期 |
SARS-CoV-2
抗体 |
ロシュ
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ECLIA
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N 抗体
(IgM・IgG) |
陰性(-)
COI<1.0 |
各検査の特徴について
●S抗体-スパイク蛋白に対する抗体
●N抗体-ヌクレオカプシドに対する抗体
●IgM抗体-早期に検出可能
●IgG抗体-後期に上昇・持続
日々、医療業務に携わる先生方のために、
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